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チーム・バチスタから螺鈿迷宮

書き難い原稿には困ったものだ。昨日は朝から悩んでしまった。資料を探せどないじゃないか。国情が違うのですよ、Mr.K。規制外規制大国へ逆行しつつある状況じゃねぇ。暗い図書館にいるのは嫌になってしまった。出ると既に真っ暗。風がかなり冷たいじゃないか。この時点で、これで決まりだと云うことにした。古い図書館は子供の頃行った病院に似ている(匂いは違うけど)。海堂尊氏の「チーム・バチスタの栄光」シリーズを紹介しよう。表紙だけ見たときには医療過誤を巡る難しいミステリーかと思った。全く違うのだな、これが。さて、タイトルは何としよう。三作品とも書くと長いしなァ。

それにしても、高円寺さんやJinさんが「白鳥」三部作とか「院長の陰謀シリーズ」とか仰ったので、これも結構書き難い(笑)。確かに、白鳥は伊良部一郎先生(奥田英朗氏の「イン・ザ・プール」など)並に可笑しいし、高階病院長(東城大学医学部付属病院長のファーストネームは「チーム・バチスタの栄光」をご覧下さい)は狸オヤジである(「ナイチンゲールの沈黙」で鮮明となる)。でもなァ、私はメディカル・ホラー作品と捉えていた。「チーム・バチスタの栄光」(宝島社、2006年12月23日第8刷発行)ではホラーの色彩が薄いことは事実である。しかし、徐々にその色は濃くなっていくのでありました。

Kaido01チーム・バチスタの栄光」では、厚生労働省大臣官房秘書課付技官なんて名刺を出す(このように書くとお判りの通り、別の名刺も持っている)白鳥圭輔が先を暗示しています。なんせ「擬音語なら“ぎとぎと”、擬態語なら“つるん”」なんて人物なのだ。コード・ネーム(?)が「火喰い鳥」。「ロジカル・モンスター」とも呼ばれている。加えて、聞くも涙、語るも涙の不定愁訴外来、別名愚痴外来の責任者であるグッチーこと田口公平は度胸のいいことするくせに、うじうじしてるんだな。白鳥に「なんで、こんなに鈍臭いかなあ」と言われてる。これじゃ、まるで関口巽じゃないか。榎木津礼次郎に「カマ(バカオロカのこと)」と呼ばれ、「猿は黙って木から落ちていれば良い!」とか言われる、あの関口ですよ(京極夏彦氏の「陰摩羅鬼の瑕」、講談社文庫、2006年9月15日第1刷発行)。え~い、バチスタが何だとか、桐生恭一がどうしたとか紹介するのはもう止めた。読んでみて下さい。「後悔するよ」と云うことで、メディカル・ホラーの幕開けなのでございます。なお、白鳥と田口、榎木津と関口について言えば、風体は全く異なっているようです。それと、「アフリカの不発弾」ねぇ。

第二作「ナイチンゲールの沈黙」(宝島社、2006年12月23日第6刷発行)では、バラバラ殺人で「丁寧に切り刻まれた臓器が、部屋の四隅に置かれている」なんて事件が起こるのです。これはもう猟奇的です。白鳥と田口はまた出てきます。加えて、眠り猫みたいな猫田麻里看護師長は登場するわ、デジタル・ハウンドドックとか呼ばれている加納達也警視正まで現る。Kaido02しかもだ、極め付けが水落冴子に浜田小夜。迦陵頻伽(かりょうびんが)なんですよ、迦陵頻伽!これは人間世界から離脱と言わずして何と言うのでしょう。そうそう、14歳の牧村瑞人君が「学校の図書館にあるミステリは全部読み終わった」のは良いとして、5歳の佐々木アツシ君が「特撮ヒーロー物ドラマであるハイパーマン・シリーズ」を見ていて良いのでしょうか。ハイパーマン・バッカスですからね。ねぇ、Jin隊長。どう思われますか?

最後に第三作目「螺鈿迷宮(らでんめいきゅう)」(角川書店、平成十八年十一月三十日初版発行)。これは完全にホラーですよ。角川さん、ホラー好きですもの。舞台は碧翠院桜宮病院。「正面にはセピア色の細長い東塔が見える。…ごう、と風が鳴り、僕の横を海風が吹き抜けていった」なんて風景のなか、老人介護センター、ホスピス施設、寺院を一体化した施設で、患者がボランティアとして働き死んでいく。完璧ですね。「屍体の森」で死の医学を司る桜宮巌雄病院長、桜宮小百合副院長にすみれ副院長。Kaidou03背景には「桜宮は花盛り、あおい(葵)、すみれに白百合の花・・・」なんて唄が流れる。雰囲気も完璧。そうそう、今回は田口は出て来ない。留年を繰り返している医学生、天馬大吉が代わりかと思ったのですが、どうも「パッシヴ・フェーズ」で田口の代わりと言えば、姫宮なんでしょうか。そうなのです。遂に氷姫こと姫宮が登場するのです。そのベールを剥がすと、そこにはクラッシャーだかターミネーターがいたのです。一時制圧には白鳥の「知らないのか。姫宮。あの不朽の名著『○○の○○』を」と云う言葉しかない。

「本当に、詰めが甘いんだから」と云うことで、この傾向はますます強まるのではないかと私は予測しているところです。以上、いつものような支離滅裂な紹介と相成りましたが、最後に一言。この三作、本当は医療の現場や問題点などを内在させながら、それをコミカルな展開でオブラートに包んだ読み応えのあるミステリーなのです。誤解のないように。但し、映画に出来るのか出来ないのかについては判りませんでした。

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