チルドレン
■伊坂幸太郎氏の「チルドレン」(講談社、2006年2月9日第九刷発行)
夜中の散歩。北西の空に稲光。真夏の陽射しは嘘のようだ。そのなかで過去の夏を思い出していた。真夏の通りを歩いていると殺風景なビルの谷間を歩いていた昔のほんのちょっとした気分をふと思い出すのは何故だろう。光と影の揺れ、ビルの照り返しは思い出すのに、そこが何処だったのかは定かではない。Robert Anson Heinleinの「The Door into Summer(夏の扉)」みたいなことを思い出す訳じゃない(笑)。何かの拍子に祖父母の家の匂い、線香やら何やらの混在した匂いを思い出すのに似ている。このような感覚も記憶なのだろうか。「チルドレン」では各短編相互の連関から同じような感覚が漂うような気がする。
「バンク」、「レトリーバー」、「イン」は陣内、鴨居、永瀬、優子、ベスの過去の事件、「チルドレン」、「チルドレンⅡ」は家庭裁判所調査官である陣内、武藤の出来事となっている。鴨居、永瀬、優子、ベスがその後どうなったかは判らない。皆、「特別な時間」にいるだけかもしれない。そうそう、「誰だって、他人と一緒くたにされたらいい気はしない。だろ?他の奴に似ていると言われて喜ぶ奴なんて、いないって」とか「子供のことを英語でチャイルドと言うけれど、複数になるとチャイルズじゃなくて、チルドレンだろ。別物になるんだよ」なんてところで、最近の子供の犯罪について考えてしまった。子供による放火など類似の事件が多発する原因は何だろう(くだらない評論などは聞きたくない)。因みに、べスと云うのは盲導犬のレトリーバーである。「元気にしてたか?」と声をかけると、「犬の方だって、悪い気はしないのではないだろうか」には賛成(笑)。
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