ドリームバスター3
■宮部みゆきさんの「ドリームバスター3」(徳間書店、2006年3月31日初版)
先ほど最近のことを書き終えたので、仕事から逃げ出して行った花見でも書こうかと思ったが、その前に「ドリームバスター3」のご紹介。なんせ、2003年から待たされること3年。「ドリームバスター2」の最後は、相当気になる終わり方だった。D・Pの「タカシ」も気になるが、ノーマンの言う「抵抗者」、そこに行くと言ったスピナーの様子。え~い、気になるじゃないか、なんて思っていたのだった。読んでない方は解らないだろうな(すまん)。「ドリームバスター」(2001年11月30日初版)、「ドリームバスター2」(2003年3月31日初版)とも本屋に並んでいるので、是非、読んでみて欲しい。
「昔むかし、あるいは遠い未来。地球とはまったく別の位相に存在する惑星“テーラ”では、意識を肉体から切り離し、自在に保管、移動する極秘実験“プロジェクト・ナイトメア”が行われていた」のだが、大爆発の結果、被験者となっていた凶悪な死刑囚が意識だけの存在になって、地球に住む人類の頭のなかに逃げ込んだ。逃げ込まれた人類をD・P(ドリーミング・パーソン)と呼ぶ。でもってだ、その凶悪犯を追う賞金稼ぎをD・B(ドリーム・バスター)と呼ぶのだな。主人公は、D・Bの少年シェンとデカオヤジのマエストロという訳だ。
さて、前作の続きはと思いきや、ぐっと変化球を投げられた。これはこれで、前作の続きと言えなくもないし、ずっと繋がっていくような気配もある。しかし、シェンが「今まで会ったD・Pのなかでも極上のバカだぜ」と言い、マエストロが「それでも可愛らしいことには変わりはない」と言っていた村野理恵子が登場するとはなァ。そう、ついでに1作目に出てきた竹内道子も登場するんだな。「赤いドレスの女」ねぇ。
それはそれとして、「新キャラも登場!」と書いてある通り「オラ、カーリン・パーカーです」も出てくる。マエストロは「助けてやるために、やっていいことと、悪いこともある。わしらは、限界に、囲まれて、生きておるんじゃ」なんて真っ当なことを言う(その通りだ。こういうことが理解できないのが、自称ジャーナリストなんだな)。そうそう、カーリンについて、「呑みこみが悪いくせに、細かいことにはよく気がつく。女だよなぁ。シェンは少しばかり感心した」とあるが、宮部さんが書いているので、やはりそうなのだろうと納得しよう(男には早合点の無頓着なんてのもいますがね、笑)。
脳の働きなんてものも、「人間の脳というものはえらくサービス精神に長けていて、またきれい好きでもあり、未決の情報をただとっ散らかしておくのが嫌いなのだ」とか(う~む、私の性格とは著しく違うような)、「時間は確かに物質じゃないよ。けど、無でもない」とか、色々と興味深いこと満載(?)である。ところで、Ludovic Robberechtsは、近代的二元論を批判したEdmund Husselの現象学について書いた「Hussel(フッサールの現象学)」(せりか書房、1971年1月31日初版発行)の中で「時間の測定に属するものと、時間の形式それ自身に属するものとが十分に区分されてしかるべきものである」と述べている(あまり関係ないか、笑)。
なお、前作、前々作では出てこなかったドレクスラー博士の実態(彼は十二歳から禿げていたそうだが、最近のバカ親達が子供の髪の毛を染めたり、脱色したりしているが、これも必ずやおかしな結果と相成ろう)や「シェンとマエストロのミーム・マシーンは“ニホン”仕様だが、この日本という国は良く言えば言語が豊かで、悪く言えば節操がないので…」なんて今まで書かれていなかったことも次第に明らかになってくる。しかしなァ、「時間炭鉱」が…、またしても気になるところとなりました。
« 「駅すぱあと」風雲録 | Main | 思い出す桜 »
「Fantasy」カテゴリの記事
- 死神の精度(2005.12.04)
- 女悪魔の任務(2009.06.06)
- 魔法の館にやとわれて(2009.09.05)
- ミストボーン(2009.09.22)
- 天岩屋戸の研究(2009.09.13)
Comments