« シャドウ・ゲーム | Main | 東京百鬼 »

プレイ-獲物-

日本、WBC優勝、素晴らしい。

残念ながら会議中だったが、携帯に勝ったと云う情報が入った。一斉に拍手してしまいましたね。一昨年来、野球からは遠ざかっていたが、日本の野球も捨てたものじゃないね。今年は見ることにしよう。嬉しさのあまりブログを書き始めてしまった。仕事は少々横に置いて、本の紹介もしてしまうことにした。めでたい話題の後に、少々グロい作品で申し訳ないけれど。

■Michael Crichtonの「PREY(プレイ-獲物-)上」(酒井昭伸訳、ハヤカワ文庫、2006年3月15日発行)

サイエンスホラーである。流石にMichael Crichton、映像になるように書いている。グロテスクなシーン満載の映画が出来上がるだろう。題名はPREY。PRAYではないが、映像を止めてくれと懇願するかもしれない。そう、私は怖い映画は苦手なのだ。

prey01何だか奇怪なシーンがほんのちょっとずつ現れてくる。怖そうな予感はするのだが、なかなか核心に入らない。この日常の普通の物事と非日常的な不可思議さとの交錯。徐々に不穏な空気を醸し出しつつ物語は進んでいく。このイライラさせる技巧がなかなかに憎たらしいところである。冒頭に書いてある。「ものごとというやつは、けっして予想どおりにはいかないものだ」と。

prey02舞台はナノテクベンチャーの「ザイモス・テクノロジー」。主人公は「生物の個体群をモデルとしたエージェントベースプログラム」を得意とするジャック・フォアマン。彼が変なもの作り出したと思うでしょう。違うんだな。彼は失業中の主夫なのです。そう、この半年間、ジャックが務めてきたのは、まさに主夫業なのだ。子供が3人もいると専業主婦も大変なんだと分かる。ホラーなのかコメディなのか判らなくなるが、男が二人で紙おむつの話をしているのには、通りかかった女性でなくとも、けげんな視線を向けるだろう(参考になる方も多いのでは、笑)。

ところで、問題はザイモスに勤めるジャックの妻、ジュリアの方なのだ。なかなか再就職出来ないジャックの方は、「優柔不断なわけじゃない。思慮深いだけ」なのだ(いるんだよ、こう云う人、笑)。「ナノマシンの雲に空中を旋回する群れを作らせようと思えば、原始的な知能を与えてやる必要がある」のだそうだ。なお、人間だって「巨大なスウォーム(swarm=群れ)ともいえる」んだってさ。しかしだ、ナノテクノロジーの中心的唱道者、K・エリック・ドレクスラーは、「軽はずみにナノテクをあやつる社会が負うリスクは、きわめて大きいといわざるをえない」と懸念を表明しているそうだ。

ted01物語は、この懸念のように進行していく。本当に怖いですね。まァ、気分の良い時にでも読んでみて下さい。でも、少々の気休めを。「超人類を可能にしたテクノロジーの数々は、もともと人類の発明したものであり、彼らの知性はわれわれと同程度であることをつねに認識しておくべきなのである」とTed Chiangが「Stories of Your Life and Others(あなたの人生の物語)」(浅倉久志・他訳、ハヤカワ文庫、2003年9月30日発行)の「The Evolution of Human Science(人類科学の進化)」(古沢嘉通訳)のなかで述べている。それにしてもだ。子供たち同士の悪態の付き方、例えば、「腐れアタマ」だとか「どうしようもない七面鳥のケツ」だとか「ネズミのクソ」だとかを見ていると、全く子供と云うのも大変な生物だと再認識する(笑)。

|

« シャドウ・ゲーム | Main | 東京百鬼 »

Horror」カテゴリの記事

Comments

d様、コメントではご無沙汰しております。
今日はゆっくりとした一日を過ごし、ライブでWBCを見ておりました。なかなかの試合内容でした。というよりも見るべき試合だったかもしれません。王監督の采配や選手の方々の動きは本当に参考になりました。

さてさて、Michael Crichton、少なくとも私にとっては大切な方の一人なのですが、今回の書籍は読んでおりませんが、近々に読むことと致します。

では、東京の「花粉症君」によろしくということで。
(京都の花粉症は、少なくとも私には何とかしのげそうです。)

Posted by: 小島愛一郎 | Mar 21, 2006 at 20:46

dさんこんばんは。
「WBC」優勝、おめでとうございます。諸事情もあり、ぼくにとっては「冒険」をしているような一日でした…(笑。
TBもさせていただきました。
ではでは。

Posted by: standard | Mar 21, 2006 at 23:54

dさん(度々)こんばんは。
すいません。何故だかTBに成功しなかったようです(苦笑。
又、挑戦?させていただきます。ではでは。

Posted by: standard | Mar 22, 2006 at 00:14

小島さん、おはようございます。
ご無沙汰してます。日本-キューバ戦、良かったですね。試合そのものは見ることが出来なかったのは残念でしたが、いい試合だったようですね。花粉症には悪態をついておきましょう(笑)。dより

Posted by: dawn | Mar 22, 2006 at 08:42

standardさん、おめでとうございます。
何かと事情がお有りなご様子ですが(笑)、何はともあれ、よかった、よかった。
ところで、どうもココログ同士のTBに不具合があるようです。根気よくお願い致します。dより

Posted by: dawn | Mar 22, 2006 at 08:45

おばんでやんす

ところで聞こうと思って今まで忘れてましたが、CreativeCommonsのあのカタブツ先生・・・おおっと、戦うサイバー法学者のレッシグ救助が日本にやってきてるらしいですね。dawnさんも27日のシンポジウムとかいかれるんですかっ!
http://blog.japan.cnet.com/lessig/archives/002693.html

是非日本を代表して
「( ̄▽ ̄)なーにカタイことばっか言ってんだよっ!ま、アレだ。日本にゃいい言葉があってな!『魚心あれば下心つってな!』あれ?ま。いっか。とりあえず一杯いっとけ」と日本酒攻撃でグズグズのベロベロにしてやってください。

Posted by: koolpaw | Mar 24, 2006 at 22:49

koolpawさん、こんにちは
残念ながら、日本酒攻撃(笑)は出来ない状況です。来週は、映画会社等との実務や出張で忙しくてヒイヒイ言ってることでしょう(笑)。レッシグ救助ねえ(笑)、良いことも言ってるんだけど、法律だけが全てじゃないなら、ご自分も著作権ビジネスの現実に、もちっと目を向けてもいいような気がしますね。dより

Posted by: dawn | Mar 25, 2006 at 12:33

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/46565/9191231

Listed below are links to weblogs that reference プレイ-獲物-:

« シャドウ・ゲーム | Main | 東京百鬼 »