「タフの方舟」2
■George R.R.Martinの「Tuf Voyaging(「タフの方舟」2天の果実-Manna from Heaven-)」(酒井昭伸訳、ハヤカワ文庫、2005年5月31日発行)
「手当たり次第の本棚から」さんから「タフの方舟」2が出ていることを教えて頂いた。実はその日すぐに買いに走った(手許にあると何故か安心するんだな、これが)。日曜日とはいえ一日に二度も本屋に行くのだから、我ながら困ったものだ(笑)。それにしても1ヶ月間隔で発行されるのはいいことだ。中公文庫さんも見習って欲しいな。
ところで、前回、帯に『「ハイペリオン」の愉悦がここにある』なんて書かないでよねと書いた。この点に関して「訳者敬白」(要するに「あとがき」ですな)で面白いことが書いてある。酒井さん、面白いね(笑)。
酒井さん曰く「帯?あ、はいはい、一巻めの。あれは凄い惹句でございましたですねえ。腰を抜かしてしまいました。はい?あとがきも?訳者軽薄?や、これは手厳しい。…」。あとがきで楽しむのもまた一興ですな(是非読んでみて下さい、面白いから)。
前巻にもまして慇懃無礼なハビィランド・タフ。「一介の環境エンジニア」なんだ。「おお、無意識のうちに、とりとめのない話をしてしまったようだ。さぞかしご退屈でしたでしょう。ともあれ、手前のいわんとするところがおわかりいただけましたか?要点をご理解いただけましたか?」だって。ヘロルド・ノルンじゃなくたって「気死したようなありさま」になっちゃうよ。しかもだ。「…献身と…博愛の精神で…」なんて言いながら「とはいえ、元手だけは回収しませんと」とはね。はぁ、この悪徳商人。しかも、「…神様なんじゃないかとね」とか言わせちまう。
ところで、「ロメオとジュリエット、サムソンとデリラ、ソドムとゴモラ」まではいいとして、「マルクスとレーニン」と云うのは伝説のカップルと言われても、ちょっとな(マルクス・レーニン主義とは言うけどさ)。人口問題が出たからといって、エンゲルスを外すことはないじゃないか(「共産党宣言」はマルクスとエンゲルスとが書いたし、「ドイツ・イデオロギー」も共著)。大体がレーニンは「それは(レーニンの構想した「党」は)…資本主義の全構成体に、自己変態を開始させようとする、生気あふれるニヒリズムなのだ」なんてこと考えてた「ドリン・ドリン」おじさんなんだよ(中沢新一氏の「はじまりのレーニン」より)。ま、どうでもいいけどね。
禿頭、白皙の肌で腹のつきでた大男のタフ。「さいわい、ハビィランド・タフは変装の名人だ、すくなくとも本人は思ってる」って言ってもね。笑ってしまうよ。しかも愛猫の名前がいかしてる。忘恩、不信、敵意、疑惑…。まさに「人間にこそふさわしい名前」かもしれません。さてと、本巻はタフが環境エンジニアリングを駆使するお話4篇。タフが「神」なのか「禍つ神」なのか判ろうというもの。是非ともお読み頂ければと思う次第でございます。なんせ訳者も言ってます。「今回も傑作怪作が目白押しでございます」って(やっぱり、訳者軽薄だって、笑)。
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Comments
さようで。dawnさまにもお楽しみいただけましたようで、何よりでございます。え? てまえの功績ではない? まことにごもっとも。
……伝染します、タフの台詞回し(笑)。
Posted by: はぐれ狼 | Jun 09, 2005 at 13:26
あ。ごめんなさい。上のは、「とら」です。
NIF時代のハンドルのままで書き込んでしまいました。
Posted by: とら | Jun 09, 2005 at 13:27
はぐれ狼さん(こと「とら」さん)、こんにちは
良かった。料金の取立てかと思いましたよ(そこまで伝染しないって、笑)。確かにこれは伝染しますね。但し、この本を読んだ人同士ならいいものの、そうでないと、いきなり殴られそう(笑)。では、またのお越しをお待ち申し上げております。dより
Posted by: dawn | Jun 09, 2005 at 13:35