« 気晴らし(その2) | Main | 「時の彼方の王冠」 »

「神狩り2 リッパー」

■山田正紀氏の「神狩り2 リッパー」(徳間書店、2005年4月20日第二刷)

昨日、半日かけて帰ってきました。強引に博物館も見に行ったし、飛行機での移動が多かったので読書も出来た。MさんとMr.Kのお陰様で極めて快適な旅となった(関係者の皆さん、有難うございました)。また、前回の文章にコメント頂いた皆さん、お心遣い有難うございました。ところで、聖書を持っていかなかったのは失敗。確かにホテルには置いてあるけど、現地の言語と英語ですものね(英語で聖書はね。うっかり。大体が飲み過ぎでホテルで本が読める状況でもなかったが、笑)。ではありますが、早速に「神狩り2」。私は読むのがかなり早い方だが、これには結構な時間がかかった。

著者があとがきで書いているように、「カッコいい」SFに30年もかかって回帰してきた作品である。Jinさんのお陰で今漸く会うべくして会ったのかもしれないと思い、真剣に読んでしまった。その「神狩り1」の主人公である島津圭助が再び現れたのが1980年5月の光州である。光州事件が勃発する。

私の記憶は光州事件を受けて、もっと古い時代へ飛ぶ。東学等を含めた民乱が全羅道で起こったのは1893年末頃(陳舜臣氏「江は流れず」)、その地域の「クオリア」があったのだろうか、「神狩り」のエネルギーに100年ほど後ろに吹き飛ばされた。物語に戻って来るまでに大変な労力を必要とした(なんせ「江は流れず」は上・中・下3巻なのだ)。

次に「ハイデッガーは言語について…、語は本質を指示するものである。語は本質的に顕示するものである。」でまさにMartin Heideggerの「Sein und Zeit」(「存在と時間」)に飛ばされる。ハイデッガーによれば「死は現存在の最も固有な可能性」なのであり、この点も気にかかるところではあるが、そこからさらに、Edmund Husserlの「Phaenomenologie」(「現象学の理念」)へと遡る。

「事物、諸存在はわれわれにとって現存しているのであって、再=現存しているのではない。」、「確信の構造」てな具合で、戻ってこようとすると、そこにはMichel Foucaultの「Omnes et Singulatim」(「全体的なものと個的なもの」)が待っていた。同書は「解放は、この二つ(個別化と全体化)のいづれか(原文のママ)を攻撃したところでやってくるものではなく、政治的合理性の起源そのものを攻撃しないかぎりやってこないであろう。」で結ばれている。

yamada02私の前頭前野のオペレーティング・システムは、「リッパーというクオリア」を受容していないが故に動きが鈍い(関係ないか、笑)。様々な幻肢を経なければならなかったのかもしれない。いずれにせよ「『神』はすなわち『隠れた神』であって、人間の脳構造、視覚構造は-遺伝的に-神を見ないように作られている」一方、「“現実”の外部のどこかに、…一望監視装置(パプテイコン)がはるかに聳えたっているのだろう」。「触れてはならないものに」に触れてしまったとき、「『神』が許せない」こととなるのか。

私の文章を読んでる人は何が何だか判らないだろう。一言で言えば、この本は「カッコいいSF」です。極めて面白い。山田さん、まさか続編を書かないなんてことはないでしょうね。30年後じゃ遅すぎますよ。

ところで、神話は言葉であり、マスメディア及び一部のジャーナリストたちは神話の供給装置と化しているようにも見える。我々は、そのような合理性の起源をも攻撃しなければならないのかもしれない。

<参考>「神狩り

|

« 気晴らし(その2) | Main | 「時の彼方の王冠」 »

SF」カテゴリの記事

Comments

む。帰国したとたんに「(死の)本の商人」再会ですか。
(-_-;)

神狩2のほうは本屋でみかけたですよ。でもそーいやここにこれは続編だっって書いてあったのも思い出してこらえたですよ。ハヤカワ・・・しかも日本人の文庫。また田舎でなかなか見つけられないのを・・・

Amazonの刺客だったですか!!
( ̄□ ̄;)

Posted by: koolpaw | May 02, 2005 at 21:10

koolpawさん、こんばんは
ダハハハ、Amazonの刺客とは。大丈夫、図書館に図書購入申し込みすると即(2週間~1ヶ月)揃いますって。それにしても日本人の文庫がない本屋には刺客(もとい飛脚)を送りたいな(笑)。dより

Posted by: dawn | May 02, 2005 at 22:12

dawnさん、こんにちは。

これもなかなか面白そうな本ですね。(^^)
遅くなりましたが、先ほどメールしましたのでよろしくお願いします。

Posted by: あざらしサラダ | May 03, 2005 at 16:07

あざらしサラダさん、こんにちは
この本、面白いですよ。是非、お読み下さい。dより

Posted by: dawn | May 04, 2005 at 10:57

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/46565/3947658

Listed below are links to weblogs that reference 「神狩り2 リッパー」:

« 気晴らし(その2) | Main | 「時の彼方の王冠」 »