「アリゾナ無宿」
■逢坂剛氏の「アリゾナ無宿」(新潮文庫、平成17年4月1日発行)
中国の反日運動について日本の新聞報道等は実体を伝えているのだろうか。また各紙の社説は何を伝えようとしているのだろうか。それにしても、産経新聞の社説のサイトは便利だね。他の全国紙の社説に飛べる。やはり新聞なんて購読しなくても問題ないな(笑)。
こんなに情報通信が発達しても真実はなかなか伝わらないなとか考えながら、「アリゾナ無宿」を読んでみた。逢坂剛氏の本は、「相棒に気をつけろ」(新潮文庫)以来だな。
「アリゾナ無宿」なんて変な題名だなと思いながら読み始めたら、なんと本当に西部劇じゃないか。しかも、賞金稼ぎの話ときましたね。アリゾナか。砂漠とサボテンの地であり、メキシコと接する州と云うイメージしか私にはないが、浅井信雄氏の「アメリカ50州を読む地図」(新潮文庫、平成11年6月10日7刷)によれば、「グランド・キャニオンと豊かな老後生活」と云う副題がアリゾナ州には付いている。同書によれば『アリゾナ州を説明するとき、「五つのC」で表現される。銅(copper)、家畜(cattle)、綿花(cotton)、サボテン(cacti)、気候(climate)である。』だそうだ。
トム・B・ストーン(TOMBSTONE=墓石)の賞金稼ぎ稼業に、記憶喪失のサムライ(日本人?)サグワロ(saguaro=サボテンの一種)と16才の娘っ子チペンデイル・ジェニファが加わるお話は、結構どじを踏みつつ進んでく。なんと言っても、この登場人物3人が興味深い。サグワロは、1868、1869年頃、日本の函館から船に乗ったようだ。その頃と言えば、大政奉還、王政復古、五箇条の御誓文があって、1869年6月27日には箱館戦争が終結している。同年6月20日には土方歳三が亡くなっている(司馬遼太郎氏の「燃えよ剣」を思い出す)。相当な剣術の使い手で、吹き針が使えて、英語も学んでいたサムライなんてね。しかも黒ずくめの服装。摩訶不思議。
トムは酒は飲まないし、後ろからは撃たない、何だか律儀な賞金稼ぎ。銃の腕も確かだし、ちょっとニヒルな感じだが、精神的にビジネスマン風で憎めない。電信網を利用してお尋ね者を追いかける。1861年10月に電信が開通したんだって、ふ~む、現代とは比べ物にならない情報通信手段だが、「物は使いよう」てところだね(日本の新聞社は今でも電信網を活用してるんじゃなかろうね)。セリフも好いね。「わたしは、約束というものをしない人間なんだよ。信用してもらうしかないな」なんてね。でも、どうせやることはやるんだから約束しろよと言いたくもなる(米国のビジネスマンだからdocumentationにはうるさいのかな、笑)。
さて、最後が極め付きのジェニファ。南北戦争後にケンタッキーの家が元南軍のゲリラに襲われる(南北戦争は1865年4月に終結したが、その年の5月にはテキサス州パルメット農場で南北軍が衝突し、南軍が勝利するなんてことも起こっているそうだ)。その後も大変数奇な運命を辿り、トムに取り付く(悪い意味じゃないよ)16才の女の子。ところがなかなか、この子が凄い。「世間知らずだとばかり思っていたが、なかなかどうしてしたたかな娘っ子だ。」、「それが一晩で、こんなにも変わるものか。」(女性は何度でも変わりますよ、笑)なんて言われる強い子だ。それにしてもだ。「おしゃべりの楽しさに味を占めたわたしは、どんなことでも話をしたくてしかたがなかった。」だとさ。女性はどうしてこうなんだ(「相棒に気をつけろ」でも書いたが、我が家では私とオスの犬は無口なんだ)。
続編を読みたいな。
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Comments
こんばんは、dawn様。毎晩の如く、今、会議終了で帰宅しメールを確認したところ嬉しい私のサイトへのコメント&TBでした。
いやはや、本当に偶然といいますか、奇遇ですが、今、逢坂氏の著作、「墓石の伝説」を読んでいます。登場人物、映画監督から映画評論家、西部劇的要素満載。そして何といってもアリゾナが舞台。是非ともこちらも未読であればお読みください(書評をリクエストしているわけではありませんので、念のため)。
さてさて、今日はライブドア関係で少し動きがあったかの報道がなされていましたが、メディアの融合と資本の融合とは別枠で考えないとなぁと会議中に素人ながら思いながらも、dawn様だけの「花粉症の新規事業」を発見しました。「本を片手に、映画を見ながら眼精疲労回復のためにマッサージができる空間の提供」、どうでしょう、年に数ヶ月だけかなり売上が見込めますが、ご検討を。
Posted by: 小島愛一郎 | Apr 14, 2005 at 00:17
あ。文庫なんだ・・・。うー。本屋さんの回し者おぢさんの思う壺にはまりそうな予感。書店の前はアクセル踏み込んで逃げよう。
幕末のお侍さんですか。松前藩士?西部劇におサムライさんがでてくるのって結構マンガとかで定番ではずれがないですよね。松本零士とか月刊マガジンの修羅の刻とか。元祖は高倉ケンさんの映画なのかなあ?う。マジに今日は本屋の近く行くのよそう。
ふと思ったんですが、中国で今騒いでる世代って例の「一人っ子政策」の子達ですよね?ものすごいあまやかされて育ってそうな気配が・・・。週末にあれだけ暴れといて月曜には正常、昨日は「行き過ぎた行為はつつしもう」とか騒ぎの中心になった団体がネットで声明を発表したとか。つまり、あの騒ぎは彼らにとって週末の娯楽だったとですか!
( ̄□ ̄;)
世間では「中国のネット利用は飛躍的にのびている」ということになっていて数字もそれを証明してるんんですが、実感としてあんまし中国の人ネット上で見かけないのはなぜでしょう?昔の韓国のネット大躍進のときはそれこそあっちこっちでアンニョ・ハシムニカだったんだけどなあ?よく考えたらその頃から(2000年から2002年くらい?)「今は中国のネットのびがすごい」とか言い続けてるような。外務省だったか、どこでしたっけ?WEBページ書き換えられた日本のお役所(笑)。
去年はブラジルがすごかったような記憶があります。知り合いのメリケンで地元の企業相手にネットワーク構築とか請負でやってるやつが、WEBサーバー乗っ取られてポル語で書き換えられて怒り狂ってました。英語はそいつの顔写真のキャプションのみでした
「Here is the pic of Geek」と書かれてて大笑いしました。
Posted by: koolpaw | Apr 14, 2005 at 07:04
小島さん、おはようございます。
奇遇でしたね(^^)。「墓石の伝説」も読んでみます。
ところで、「映画を見ながら眼精疲労回復」できる空間は良いですね。ホテル等で実施してもらうと云う手はあるかも。dより
Posted by: dawn | Apr 14, 2005 at 08:36
koolpawさん、おはようございます。
「書店の前はアクセル踏み込んで逃げよう。」って、スピード違反に注意して下さい。今日は行かなくっても、明日があります(笑)。
「あの騒ぎは彼らにとって週末の娯楽だったとですか!」はそうかもしれない。娯楽が少ない国ですものね。それにしても、「Here is the pic of Geek」だけ英語が残ってるなんて、その部分で本人の怒りは最高潮に達したでしょうね(笑)。dより
Posted by: dawn | Apr 14, 2005 at 08:43
アリゾナ無宿、近所になかったですー。
( ̄▽ ̄)お金節約でけた。と思ったら結局付録DVDにソラリス10が入ったUNIXマガジン見つけてつい買ってしまったのでイタイ出費。
( ̄□ ̄;)
案の定週末になったらまた中国で大騒ぎですね。これは・・どう考えてもあんまし強固な思想性に基づいてるデモじゃなくて、ただの学生のバカ騒ぎみたいな気が。。。バカ騒ぎも大規模だと馬鹿にできない問題ですが。今ニュースみてたらG7とかやってたんですね。「原油高は中国の最近の経済発展による原油消費量の拡大も要因」とか「アメリカが人民元の為替相場の見直しを」とか言ってました。中国バブルっつーか上海バブルもはじけるか?
Posted by: koolpaw | Apr 17, 2005 at 13:06
koolpawさん、こんにちは
「アリゾナ無宿」がなかった!で、UNIXマガジンを買ってしまったと。あ~、何と云う本屋だ!客一人を取り逃がすとは。回し者の甲斐がないじゃないですかね(笑)。
しかし、中国の問題は暇潰しが店潰しになって、ちょっと困ったものですね。人民元の問題は実は日本企業にとって痛し痒しで、結局のところ、中国バブルはじけて、日本企業はじけるなんてことになるのではないかと心配です。dより
Posted by: dawn | Apr 17, 2005 at 16:53