「西の善き魔女」Ⅲ
■荻原規子さんの「西の善き魔女」Ⅲ(薔薇の名前)、中公文庫、2005年2月25日発行
前回、「西の善き魔女」Ⅱで「もう読み続けないと皆さんは思うでしょう。さあ、どうでしょう。でも一言だけ。これ以上の感想は書かないかもしれません(?)。」なんて書いていたが、やっぱり出ると読むんですね。
ところで、タクシーの中で、こんなものを見つけた。
そう、木下大サーカス(スーパーミラクルイリュージョン)の割引券。何て懐かしいんだろう。サーカスと言えば、日本では他にキグレサーカス、海外ではボリショイサーカス、最近ではサルティンバンコやキダムなどで有名なシルク・ドゥ・ソレイユを思い出す。小さい頃、見たくてしょうがなかったサーカス、その花形は何と言っても空中ブランコ。別役実氏の「黒い郵便船―別役実童話集」(三一書房)に「空中ブランコのりのキキ」と云う話があった。4回宙がえりをやりたくて『次の瞬間、キキは、大きくブランコをふって、まっくらな天井のおくへ向かってとび出していました。』 息をのむ観衆。このスリル。ハラハラドキドキする、この感覚。堪らない。サーカス (circus)の語源はローマで競馬・闘牛などを行なった円形競技場の名にある。見世物である。類語辞典を見るとbig topやspectacleとともに、larkやromp(ふざける)などもある(「Roget's Thesaurus」より)。
おっと、何の話をしていたんだ。そうだ「西の善き魔女」Ⅲだった。そう、何を言おうとしていたかと云うと、この物語、宝塚にサーカスのスリルが盛り込まれてきたと云うことでした。フェリエルとアデイルは宮廷に。女王争いは、『本音は、飾られた言葉の下にわずかしか含まれていない。』なんて、まずは言葉の綱渡りで始まる。当然、宝塚風は随所にあります。『「…?わたくしが想定しているのは、美しい従姉妹を兄に奪われた少女の、悲しみにくれるストーリーですのに」』なんてね。今後を暗示させる『「それはあまりにも『西の善き魔女』的な考え方ですわ。」』と云う言葉の下、ルーンは失踪し、ユーシスは竜退治に。愈々「真っ暗な天井のおくへ向かって飛び出す」のか。
ところで、皆さんもスリルのある見世物は好きなんですよね。「競馬好きのうっかりさん」で連想するのは奥田英朗氏の「空中ブランコ」だけどね(笑)。うら寂しさと笑いだけが残るのかな。やっぱり類語にも二通りあるはずだ。
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